●映画「海よりもまだ深く」

2016年5月15日 16:08

5月21日公開の映画「海よりもまだ深く」

主演の阿部寛さんと、是枝裕和監督にインタビューしました。

主人公の良多(阿部寛)は、新人賞を一度取ったきりの、売れない小説家。
探偵事務所で「取材」と称して働くも、妻には愛想をつかされ離婚。
息子の養育費に充てるお金まで、つい、ギャンブルに使いこんでしまう情けない中年です。
実家の団地には、夫を亡くした母親(樹木希林)が一人暮らし。
ある嵐の夜に、ひょんなことから、家族や、元妻、息子が全員集まります。
たわいのない出来事が、ちょっとしたドラマに。
「人生って思い通りに生きられない。でも、生きていくしかない」
と、優しく背中をおされる素晴らしいラストが待っています。

ダメな人だんだけどにくめない。
息子を思う主人公の行動には、
やるせなさと愛おしさをがにじみ出ていますね。

阿部 「初めて台本読んだときに、こういう人、昔、自分の親族にもいたなって思ったんですよね。
    ちょっと変なおじさんなんだけど、子供にはすごく優しくて、物を買ってくれたりする、
    あのおじさんの感じを思い出しました。 それに、良多は、とても人間的なんですよね」

一見、いきあたりばったりですが・・・

阿部 「人は、日々、いい時も悪い時もあり、 一日の中にも、いくつかの選択肢がありますが、
    良多はそれを必死に選んで生きているんですよ。」

是枝監督が実際に住んでいた団地が舞台のこの作品。
脚本には、監督自身の幼少体験や、思いがつまっています。

是枝 「実際に、ここで、母が亡くなるまで暮らしていたんです。  
    僕も、父親と宝くじを買ったことがあって。  ある日、帰って嬉しくて母親に見せたら激怒して。  
     子供心にすごくショックだった。そんな記憶を呼び覚ましながら、書きました。」

では、子供のころは、野球少年だったんですね

是枝 「はい、一番レフト もちろんフォアボール狙いでした。」
    (一同笑 映画を観ると分かります。) 

印象的なのは、すでに他界した良太の父親が、
もう一人の主人公のように家族の会話ににじみ出てくること。

是枝 「亡くなった父親のことを、実際に自分が父親になってから思い返すことが多くて。  
    そんな気持ちを、主人公に重ね合わせたかったんです。  
    僕を愛してたか、なかったのか、わからないような父親だったんですが、  
    亡くなってみて、はじめて強く思うようになって」

阿部 「僕は、もう10年以上前に、母を亡くしていて。  樹木さんと演技していると思いだしました。  
     ああ、ひょっとしたら母もこういう気持ちだったのかな・・・とか」

リアルすぎるほどの母・息子のやりとりは、是枝監督が、 二人の配役を想像して
一字一句書いたもの。すごく自然に演じられたんだそう。
忘れられない印象的なセリフも多いこの映画
たとえば「女性は恋愛を重ね塗りする」はどんな風に?

是枝 「取材で得た言葉です。今回、養育費を払ってくれない元夫をもつ女性たちを、  
     たくさん取材しました。相手が、どんな払わない言い訳をするのかを聞く中で・・・」

さすが、ドキュメンタリー出身の是枝監督。

阿部 「僕は、なんで男は今を生きないんだ?とか、誰かの過去になる勇気を持て!
     というセリフが印象的でした。劇中では、さらっとしているんだけど、  
     あとで、心にひっかかる言葉が多いんですよね」

団地育ちの私には、家の中のこまごまとした配置も、なにもかもすごく懐かしく・・・
幼いころの「あるある」がいっぱいの映画に話はつきませんでした。

阿部 「大きな事件は起きないが、家族の話ってこんなに面白いんだと思える  
     笑って泣ける素晴らしい作品です。」

監督 「台風のあとの雨上がりの団地の芝生がキラキラしている。  
     そんな、ふとした日常の、晴れ晴れしたラストを意識しました。  
     観賞後にそんな感覚を味わってほしいです。」

カンヌ出品作品「海よりもまだ深く」 
ぜったいおすすめの素晴らしい映画です!
 

 

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