2017年11月

日馬富士問題に見る危機管理のツボ

北辻利寿

2017年11月20日

「危機管理」に最も大切なものは何か?

それは起きたことに対応する「スピード」すなわち「迅速さ」である。

これがあってこそ、事態打開の次の一手が打てるからだ。

 

リスク管理に詳しい中島茂弁護士は著書『最強のリスク管理』(金融財政事情研究会刊)

の中で「情報伝達は迅速でなければならない」としながら「現場はリスク情報の吟味をせず、ためらわず上に上げるように徹底しておく必要がある」とまで指摘している。

横綱・日馬富士の今回の暴行問題について、日本相撲協会の組織内コミュニケーションと危機管理対応には首を傾げざるをえない。

 

暴行問題が発覚して6日目の11月19日、日本相撲協会の危機管理委員会は、ようやく今回の"主役"横綱・日馬富士から直接、事情聴取を行なった。

「問題が発覚してから」6日目である。

しかし相撲協会が今回の事態を認知したのは、その2週間近く前のことであり、遅すぎるという指摘は免れない。

相撲協会は発覚当初「危機管理委員会を立ち上げて調査する。ただし九州場所が終わってから」と発表していた。そこに迅速さは欠片もなかった。

「本場所中だから」「警察の捜査を優先」という当初の姿勢も、結果として「本場所中」「警察の捜査中」にもかかわらず横綱の事情聴取に踏み切ったのだから方針変更を余儀なくされたのであろう。

同じ日に八角理事長は書面で「痛恨の極み」とのコメントを発表した。相撲界トップの正式コメントも問題発覚後、これも初めてである。

 

日馬富士問題は日一日と混迷を深めている。

その経過をあらためて俯瞰的に見直すと、この問題の様相も日々変化してきていることが分かる。

力士同士の暴行騒動が、協会内の対立構図にまで発展してきている。

それは情報の過多と不足、この相反する2つが勝手に走り出していることによるものであり、危機管理に対するスピード不足に起因している。

「なぜ暴行事案が明らかになるまでこんなに時間がかかったのか?」

「なぜ大ケガをしたはずの貴ノ岩が翌日も巡業で土俵に立てたのか?」

「なぜ貴乃花親方は被害届を提出しながら相撲協会に報告しなかったのか?」

「なぜ宴に同席していた横綱・白鵬は時間が経ってから証言したのか?」

「なぜ二種類の診断書が存在するのか?」・・・一連の「なぜ?」にキリがない。多すぎる。

警察の捜査について秘密保持は仕方なしとしても、この「なぜ?」が増えれば増えるほど、そしてひとつひとつに対する回答が遅れれば遅れるほど、ファンだけでなく世間の相撲界への不信は増していく。

警察ですら"配慮"しているほどの本場所、その大切な九州場所の土俵の熱戦すら"土俵外の問題"によって薄らいでいる。

 

相撲協会は警察の捜査優先と言うが、協会自らの調査は捜査とは違う。

あらためて言う。

協会が自ら積極的に調査し、判明したことだけでもその内容を速やかに発表するべきである。

当初注目されたビール瓶の存在はともかく、品格を求められる横綱が「殴った」ことを認めており、それだけでも大きな問題なのだから。

八角理事長はコメントの中で「関係者の聞き取りについても可能な範囲で進めていく」と語ったが、「可能な範囲」などではない。必要なことは「積極的に」である。真実はひとつ。この問題は警察の捜査が進む刑事事件であり、「角界の常識は世間の非常識」という言葉は通用しない。

特別な社会でのことではなく、私たちも一般的な感覚でとらえるべきだ。

 

「危機管理」の基本は「悲観的に準備して楽観的に対処する」と言われる。

起きた問題にはまずは大きく構えて取り組み、状況を見て対応を次第に解除していけば良い・・・という意味でもある。

四人の横綱を得て「満員御礼」が続く人気絶好調の相撲界。

悲観的になる気持ちも当然あるだろうが、「対処」を忘れてはいけない。

相撲協会の自主的そして積極的な調査に誰も「待った」はかけない。

危機管理に待ったなし!である。  

 

東西南論説風(20)  by CBCテレビ論説室長・北辻利寿】

トイレおしっこ考察~あなたは立つ?座る?

北辻利寿

2017年11月15日

画像:足成

古くからの友人の新居へ夕食に招かれた時のことである。
もう10年ほど前のことだ。
男友達ばかりの鍋パーティだったのだが、宴の途中でトイレを借りた際に、洋式便器の上に貼り紙を見つけた。
「トイレは座ってお使い下さい」と書いてあった。
その際は小便だったのだが、便器に腰かけて用を済ませた思い出がある。

「あなたは自宅のトイレでオシッコをする際、どのようにしますか?」・・・特定非営利活動法人(NPO法人)日本トイレ研究所が、このほど全国20~69歳の男性515人を対象にしたインターネットでのアンケート結果を発表した。
それによると、男性の場合「立ってオシッコをする人」55.3%、「座ってオシッコをする人」43.7%と、立ち派が多いものの、その割合は結構せり合っていることが判明した。
興味深いのは「座ってする人」の内訳で、「自分の意思で座ってする」が35.3%、「家族に言われたので座ってする」が8.3%だった。
もうひとつの質問で「自宅のトイレでオシッコをした後に、便器周りの飛び散り汚れをどうしますか?」という質問があり、これに対しては「拭く」が67.4%で、「拭かない」の11.1%を圧倒。さらに別の質問で、パンツやズボンのシミを指摘されたのは「配偶者から」という答がトップであるところから察するに、「座ってオシッコをする」「便器周りの飛び散りや汚れを拭く」という行動の背景には、家族、特に配偶者の存在があるのかもしれない。
男性にとってオシッコは「立ち小便」という言葉が表しているように、古来「立ってする」ものだったと思うのだが、これも時代と共に移り変わった"トイレ事情"なのだろうか。

逆に、もともとは座って行なっていたのに、立ってすることが増えてきたものもある。
会議である。
企業などで参加者が立ったまま打ち合わせを行う会議が注目されて久しい。
「立ち会議」とか「スタンディング・ミーティング」とか呼ばれており、「短時間で済む」「集中力が高まる」「意見交換も活性化」「会議室を用意する必要がない」「すぐに集まることができる」などのメリットがあり、採用する企業も多い。
たしかに腰を下ろしてしまうと、会議が必要以上に長引いてしまうこともある。
効率性を求めた"座りから立ちへのスタイル変換"であろう。

そんな社内会議などの休憩時間や終了後で注意しなければならないことは、再び話題はトイレに戻るが、そこでの会話である。
自宅以外の男性用トイレの場合は、小便用とボックスの2つに分かれているが、このボックスのドアが閉まっている時は要注意である。
トイレという空間は、排尿という人間の根幹に関わるとことがあり、ついつい無防備になりがちである。
会議の出席者が小便用の便器で並んでオシッコをしながら会議内容について会話を交わすと、ボックスの中にいる"誰か"に聞かれてしまう場合がある。
社内トイレの場合でも、社外の人が使用することがないとは言えないし、インサイダー取引防止についての研修会などでも注意事項として挙がる場合もある。

立ってするか?座ってするか?
私自身がどう回答するかについては、あえて差し控えさせていただくが、座ってする場合には便器のフタの裏側に飛び散ることも多いのでご注意いただきたい。
この経験談によって回答をお察しいただければ幸いである。

【東西南北論説風(19)  by CBCテレビ論説室長・北辻利寿】

"2人のトランプ"ASEANで初会談

北辻利寿

2017年11月10日

【CBCテレビ イッポウ金曜論説室】

トランプ米大統領のアジア歴訪は、ASEAN(東南アジア諸国連合)首脳会議が開催されるフィリピンの地でクライマックスを迎えます。

11月13日からフィリピンのマニラ北西パンパンガ州で開催されるASEAN関連首脳会議は、これに合わせて議長国でもあるフィリピンのドゥテルテ大統領がトランプ大統領と初めて会談する機会になります。
"アメリカ嫌い"と言われているドゥテルテ大統領ですが、その一方で歯に衣着せぬ発言から「フィリピンのトランプ」とも呼ばれています。
すでに二人は電話会談を行っていて、ホワイトハウスの発表によりますと、トランプ大統領がドゥテルテ大統領をホワイトハウスに招待したそうです。
これまでのアメリカ大統領との距離感よりは近いのかもしれません。
どんな初顔合わせになるのでしょうか?

ここでASEANについて簡単に復習しましょう。
ASEAN(Association of South‐East Asian Nations/東南アジア諸国連合は、1967年8月にバンコクで発足しました。今年でちょうど50周年を迎えました。
現在はブルネイ・カンボジア・インドネシア・ラオス・マレーシア・ミャンマー・シンガポール・タイ・ベトナムそしてフィリピンの10か国が加盟しています。
もともとは東西冷戦時代に、旧ソ連に対抗してアメリカ中心に絆を結ぼうとした"政治的な結びつき"の色合いが強かったのですが、その後"経済的な結びつき"へと変わってきました。

外務省の最新資料によりますと、ASEANの実質GDP成長率は2010年以降に持ち直し、現在は安定的な成長を維持しています。
また消費者物価上昇率も一部の国で高かったものの最近は落ち着きを見せています。
そして失業率も全体的に緩やかな改善傾向になるなど、経済全般は安定しています。
日本にとっても、対ASEANとの輸出輸入の貿易は、中国そしてアメリカに次ぐ3位、対世界貿易の15.0%を占める大切な経済パートナーです。

政治から経済へ・・・その結束の性格が変わってきたASEANですが、ここへ来て、再び
政治がテーマになりつつあります。北朝鮮情勢です。
実はASEAN10か国はいずれも北朝鮮と国交があります。
しかし、核ミサイルの開発を進め、アメリカに対して挑発行為を続ける金正恩体制に対し、ASEANとしても静観はできなくなりました。
今回の首脳会談に先がけて10月に行われた国防相会議では、北朝鮮に対し「深い懸念を表明する」共同宣言を採択しました。

そして迎える今回の首脳会談。トランプ大統領は今回のアジア歴訪の最初に日本を訪問し安倍首相と会談、「自由で開かれたインド太平洋戦略」の実現に向けた協力強化、そして北朝鮮へ最大限の圧力をかけていくことで合意しました。
トランプ大統領と初会談するドゥテルテ大統領もこれに先駆けて10月末に来日し、安倍首相と北朝鮮情勢などについて意見交換しています。
ASEAN内には北朝鮮との「融和国」が多いのですが、アメリカ・フィリピン・日本この3人の首脳によるトライアングル関係を受けて、首脳会議の議長を務めるドゥテルテ大統領が北朝鮮対応でASEANの足並みをどう揃えるのか、日本・韓国・中国それぞれも対北朝鮮への対応が微妙に食い違う複雑な国際関係の中で、会議の行方を世界が見守っています。                        
【イッポウ「金曜論説室」より  by CBCテレビ論説室長・北辻利寿】

【画像】
※CBCテレビ『イッポウ』

ミズ・イヴァンカ ~「イヴァンカさんキレイだったね」で終わってはいけない

石塚元章

2017年11月 8日

 イヴァンカさん、確かに輝いている女性でした。私が出演しているCBC発の情報番組「ゴゴスマ」でも、CM中の雑談でコメンテーター陣が「彼女が着ていたブランドって○○らしいね」「あれって若い女性向きなのに、結構高いから若い人が買えないっていう不思議なブランドよね」などなど、大変に盛り上がっておりました(生番組というのは、たいていCMなどで放送に映っていないところのスタジオトークが面白かったりします...)。
 結婚していて3児の母親。ビジネスもこなして、しかもトランプ大統領の補佐官の肩書き。メディアでは「なんて声をかけるのが適当なのか」なんてことまで話題になっていました。結局「ミズ・イヴァンカ!」あたりが適当なのだそうで。でも、「イヴァンカっ!」って呼び捨てにして声がけをしていたリポーターもいましたが(笑)。

 で、そんなブーム(?)を巻き起こしてイヴァンカさんが駆け抜けたあとに父親のトランプ大統領が2泊3日、日本に滞在しました。とはいっても、3日目は午前中に韓国に向かって飛んで行きましたから、事実上は2日の日程といってもいいかもしれません。これ、韓国側が「なんで韓国は1泊2日なんだ?日本には3日も滞在するのに」と主張したことに配慮して、早目に韓国に向かったとの説がもっぱらですが。

 実は、大統領にとっても日本にとっても、大事なのはこれから...なんですね。
 「北朝鮮問題」「中国との関係」「インド太平洋戦略」「通商政策を多国間で?それとも二国間で?」といった課題に、日本にいる間に話し合ったことを抱えて、トランプ大統領は韓国、中国、ベトナム、フィリピン...と回ります。ベトナムとフィリピンでは、APECやASEANの会議、さらに東アジアサミットにも顔を出します。ロシアのプーチン大統領とも会談するはずです。
 そもそも関係が良好とされる安倍首相との会談などとは、おそらく段違いに複雑な話し合いをこなさなければならないはずです。日本で約束したことが、ちゃんと生かされるのか...。本当のポイントはここから後、なんですね。
 しかも、本国アメリカでは、トランプ大統領の周辺をめぐる「ロシア疑惑」「パラダイス文書」(これはまた改めて解説する必要がありそうなキーワードです)なんていう大きな課題が待ち受けています。

 「イヴァンカさんがまずやってきました。そのあと大統領が総理大臣とゴルフを楽しんで、晩さん会にはピコ太郎さんも呼ばれました。そして大統領は日本を去って行きましたとさ...めでたし、めでたし」で終わってはいけないお話が、いままさに幕を開けたのです。

 その幕開けの役回りを、少なくとも日本においては見事に演じたともいえるミズ・イヴァンカ。実は、ご自身だって心穏やかではいられない日々が始まるかもしれません。いえ、すでに始まっているはずです。ご主人でトランプ政権の中枢にいるクシュナー上級顧問に関して、実はロシアとの不適切な関係に一枚噛んでいたのではないか...との疑惑が浮上しているからです。
 米経済誌の「最も影響力のある女性」最新ランキングで19位に入ったイヴァンカさん。地球温暖化の国際的な枠組み「パリ協定」からトランプ大統領が「温暖化対策なんていらない!」と離脱しようとした際に、「離脱すべきではない」と反対したのもイヴァンカさんなら、「シリアをミサイルで攻撃すべき」と進言したのもイヴァンカさんとされています(夫のクシュナー氏がユダヤ教徒だったことから、自身もユダヤ教に改宗。熱烈なイスラエル支持者だというのも理解のヒントかも)。
 世界には、早くから「イヴァンカさんこそキーパーソンだ」と目をつけていた人も少なからずいたと聞きます。
 とはいえ、イヴァンカさんの今の役回りは、身内以外に信頼できるスタッフが少ないとされるトランプ大統領だからこそのポジション...ともいえるわけで、その大統領と蜜月関係を構築した日本にとっても、さまざまな意味で大事なのはこれから...といえそうです。


【ニュースなキーワード:1/ミズ・イヴァンカ】
イヴァンカ・マリー・トランプ(Ivanka Marie Trump)。第45代アメリカ大統領ドナルド・トランプの長女。モデルとして活躍したのち、父親の不動産業を手伝うなどしてビジネスの世界にも。政治の世界を目指した父親をバックアップし大統領当選にも貢献。トランプ大統領にとってイヴァンカ氏と夫で大統領上級顧問のクシュナー氏は強い味方。2016年11月、まだ就任前だったトランプ氏と安倍首相がニューヨークでいち早く会談できたのも、イヴァンカ夫妻が陰で支援したためとされる。

日本シリーズこれでいいの?

北辻利寿

2017年11月 7日

画像:足成

この制度がなかったら、2007年(平成19年)中日ドラゴンズの53年ぶりの日本一はなかった。

セ・リーグ2位からの日本シリーズ出場だったのだから・・・。

その意味では、この制度を無下に否定はしたくない思いもある。

しかしこれでいいのだろうか?

プロ野球でレギュラーシーズンを終えた上位チームが、日本シリーズ出場をかけて争うクライマックスシリーズ(以下CS)制度である。

 

2017年のプロ野球日本シリーズが終わった。

パ・リーグの覇者である福岡ソフトバンクホークスとセ・リーグ3位からCSを勝ち上がった横浜DeNAベイスターズの熱戦によって、今年のシリーズも盛り上がったと言えるだろう。

特に、シーズンで14.5ゲーム差をつけられていた広島カープをCSで破って日本シリーズに進んだDeNAラミレス監督の采配は「短期決戦に強い」と注目された。

データに基づく緻密な選手起用と勝負どころでの積極的な投手交代によって、3連敗の後に2勝してあわや逆転日本一かと勢いを見せた。

一方のソフトバンクもシーズン中のケガから復帰した内川聖一選手を待っていましたと4番に起用し、また日本一を決めた第6戦で守護神サファテ投手に初の3イニング投げさせた工藤公康監督の采配が光った。

両チームの高度な戦いによって、2017年のプロ野球も大団円となったが、もしあのままソフトバンクが4連勝して日本一になっていたら、おそらく「CS制度はこのままでいいのか?」という議論が持ち上がったはずである。

片方はシーズンで2位に13.5ゲーム差をつけて優勝したチーム、もう片方は1位に14.5ゲーム差をつけられた3位のチーム。

いくらルールだと言っても、日本一を争う対戦なのだろうか?

長いシーズンを戦った重みはどこにあるのだろうか?

広島カープが出場していたらどんな戦いをしたのだろうか?

 

ここで日本シリーズの思い出を辿る。

CSという制度がない時代でもその歴史には数々の熱戦があった。讀賣ジャイアンツが9連覇を達成した期間の1971年(昭和46年)、日本シリーズ第3戦、王貞治選手が、完封を続けていた阪急ブレーブスのエース・山田久志投手から打ったサヨナラ逆転3ランは、ドラゴンズファンながらも感動した名勝負だった。この年が7連覇目だった。

他にも、1978年(昭和53年)ホームランをめぐる阪急ブレーブス上田利治監督(故人)の猛抗議、1986年(昭和61年)最終戦で見せた西武ライオンズ秋山幸二選手のバク転ホームイン、翌年の同じライオンズ清原和博選手の涙・・・。

そして何と言っても、「江夏の21球」として語り継がれる1979年(昭和54年)、広島東洋カープと近鉄バファローズ、3勝3敗で迎えた第7戦。

1点リードでマウンドに上がったカープの江夏豊投手は、無死満塁という絶体絶命のピンチを21球によって抑え、日本一を勝ち取った。

パ・リーグには2チームによるプレーオフがあったが、そのいずれもCSという制度が導入される前のことである。

両リーグの覇者同士による素晴らしいシリーズ対戦であった。

 

2007年からのCS導入によって、シーズン後半の各チームの戦い方が明らかに変わった。

ある時点からはCS出場権を得るため、3位以内に入ることを目標に舵を切るゲームが見られる。

それが首位チームにさらなる独走を許す要因になっているとも言える。

そしてそれは大差での優勝につながり、いわゆる「消化試合」が増えることにもつながる。今シーズンはセ・リーグ6球団の観客動員数が史上初めて1400万人を超え、2年連続で最多更新をしたが、もしCSがなかったなら記録は更新できなかったかもしれない。

CSが果たしている役割は重要だという現実がある。

しかし、プロ野球は選び抜かれた選手がグラウンドで最高のプレイを見せる場、入場料を払って野球場を訪れるファンにとっては一期一会ならぬ「一試合一会」である。

本来CSがなくても「消化試合」などあってはならないと思うのだが・・・。

 

両チームの熱き戦いによって、結果的には盛り上がった2017年日本シリーズ。

広島カープがCSで敗退し日本シリーズに進めなかった時に巻き起こった、CSのあり方をめぐる議論も静かになっている。

"下剋上"の看板を背負ったDeNAの戦いは見事だった。

しかし、これで満足するのではなく、現行のCSのあり方を含めて、NPB(日本野球機構)には常に魅力ある日本プロ野球のために、検証と改善を進め続けてもらいたい。

 

東西南論説風(18)  by CBCテレビ論説室長・北辻利寿】