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シロ?クロ?その判定に異議あり

北辻利寿

2017年7月21日

 プロ野球のオーナー会議が、オールスターゲームを前に開催された。その席上で、日本野球機構(NPB)に設置されているリプレー検証検討委員会から報告されたのは、米国のMLBが採用している「チャレンジ制度」の日本での導入についてであった。
 日本のプロ野球では現在、2010年から本塁打に限ってリプレー検証が、そして去年2016年から本塁でのクロスプレーについてもリプレー検証が採用されている。今回の「日本版チャレンジ」は、この枠をさらに拡げようというもので、本塁以外でのクロスプレーやそれぞれのチームから検証を求めることができるという内容である。早ければ来シーズンからの導入をめざすという報告であった。MLBの場合は、「チャレンジ」用のスタジオをニューヨークに用意し、全米30球場からの映像を一括して管理。専門の審判員が待機して、球場の審判員と連携をしながら検証を進める大がかりなものだ。さて、日本では一体どこまで、それが可能になるのだろうか?

 そんな話題が出た月の初め、ひとりの野球人が逝った。上田利治さんである。享年80歳。上田さんを有名にしたのは、何といっても、37歳の若さで監督に就任した阪急ブレーブス(当時)を1975年(昭和50年)からパ・リーグ4連覇させたことだろう。この中には3年連続の日本一が含まれている。「プロ野球の判定」と聞いて思い出すのは1978年の日本シリーズ。上田監督にとっては4年連続の日本一がかかった第7戦の猛抗議だろう。相手はヤクルトスワローズ。当時はまだ日本シリーズがデーゲームだった。1点リードされた6回、ヤクルトの主砲・大杉勝男選手が放ったレフトポール際の打球が本塁打になると、上田監督はベンチを飛び出した。ファウルだと主張し、本塁打判定の取り消しを求める上田監督は守備についていた選手をベンチに引き上げさせ、左翼審判の交代をも求めた。抗議時間は実に1時間19分。結局、判定は覆らず、ゲームは4-0でヤクルトが勝利して、阪急は4年連続の日本一を逃した。それほど重い判定だった。もし、リプレー検証が採用されていたらどうだったのだろうか。

 スポーツでの判定というと、もうひとつ思い出すのが大相撲での横綱・北の富士と関脇・貴ノ花(先代)の一番である。上田監督猛抗議の日本シリーズから遡ること6年の1972年(昭和47年)初場所。土俵中央で組んだ二人の力士。北の富士が左からの外掛けに出るが、足腰の強さが並大抵でなかった貴ノ花はそれを残す。すると北の富士は全体重をかけながら今度は右からの外掛けに出る。それを貴ノ花はプロレスのバックドロップよろしく身体を反らせながら投げようとする。北の富士の右手が先に土俵に突き、その後二人は土俵に倒れこんだ。行事軍配は「つき手」で貴ノ花に上がる。しかし物言いがつき、結果は「貴ノ花の体はすでに"死に体"。それをかばった"かばい手"」と軍配が覆り、結果は行事差し違え。北の富士が「浴びせ倒し」で白星を上げたのだった。当時はビデオ判定もなく、こちらも審判員の目だけが決め手だった。

 スポーツの世界から曖昧さが消え去っていく。誤審は許されない。しかし、人が人を判定するからこそ、お互いに切磋琢磨があり、そこに血が通うのではないかと思う。シロか?クロか?スポーツ界はその色をさらに鮮明にする道を歩んでいる。(2017/7/20)

【東西南論説風(1) by CBCテレビ論説室長・北辻利寿】

The Beatles 来日50周年に想う「Love&Peace」

後藤克幸

2016年6月27日

1966年6月29日。
CBCが招へいしたビートルズが羽田空港に到着。
4人は、はっぴ姿でタラップを降り笑顔でファンに手を振った。

7月2日の帰国まで5日間の短い滞在中、
日本武道館で5回のライブコンサート。

来日記者会見の記録を改めて読んでみて、
興味深いやり取りに気づいた。
(記者)あなたたちは、すでに名誉と財産を得たと思いますが、
        次は何を望みますか?
ジョン;平和。
(記者団が爆笑)
ポール;ぼくも、平和。
ジョン;平和 と・・・
ポール;平和 と・・・
ポール;原子爆弾を禁止しようよ!
ジョン;そう、原子爆弾の禁止!
というくだりが記録されていたのだ。

記者が「名誉と財産を手に入れたあなたたちは、次に何を望むの?」と
質問したのに対して、ジョンが「PEACE!」 と答えたとき、
記者団から大きな笑いが起こった。

質問の趣旨とその場の空気から考えると、
記者たちは、おそらく「PEACE!」という言葉を
「静かな生活(を送りたい)!」という意味に解して、
そのユーモアに思わず爆笑したのだろう。

でも私は、
ジョンとポールは、そういう意味も込めたかけ言葉として「PEACE!」と
ユーモアをこめて答えたけれども、実は、
大真面目に「平和!」と言いたかったのでは、とも思う。

その根拠は、
二人は即座に、「PEACE and・・・」と続けて、
ポールが示し合わせたように「原子爆弾を禁止しよう!」と発言。
さらに、同じ記者会見の中の別の質問では、
こんなやり取りもあるからだ。
(記者)ベトナム戦争について関心はありますか?
ジョン;毎日そのことを考えているよ。
        この戦争には賛同できないし間違っていると思う。

ビートルズの来日は、1966年。
翌1967年に「All You Need Is Love(愛こそはすべて)」を発表。
1968年には、ジョージ・ハリスンも、
彼の出世作でエリック・クラプトンとレコーディングで共演した名曲
「While My Guitar Gently Weeps」で反戦へのメッセージを歌った。

ビートルズは、1966年6月29日の来日記者会見で、すでに、
「Love and Peace」のメッセージを私たちに発信していたのだ!

                                     

 

 

 

 

            

                         

 

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沖縄へ旅行されるなら・・・

後藤克幸

2015年4月 4日

 夏休みに、もし沖縄へ旅行される方がいらっしゃいましたら、ぜひたくさんの方に訪問してほしいと思うのが、『旧海軍司令部壕跡』です。那覇空港から車で15分ほどの所にあります。沖縄戦で、日本海軍が、激しいアメリカ軍の攻撃に抵抗して持久戦を続けるために地下壕を掘って司令部を置いた場所で、今は、地下壕の中に、悲惨な戦争の実情を伝える様々な資料が展示されています。この中でも、特に、心を打つのは、当時の司令官が海軍本部にあてて打った『沖縄県民かく戦えり』という電報文の展示です。
 沖縄県民は、青年も老人も女性もみんな防衛戦に駆り出され、砲爆撃の下でさまよい、看護婦も身寄りのない重傷者を助けて一緒にさまよい歩いています。沖縄の実情は言葉では形容できません。一本の木、一本の草さえすべてが焼き尽くされて食べ物もありません。沖縄県民かく戦えり。県民に対して、なにとぞ後世特別のご配慮を賜りますようにお願いします・・・と書かれていました。
 "沖縄に後世特別のご配慮を"・・・。司令官のこの悲痛な叫びは今、どこに・・・?

「リアルな映像」考〜キノコ雲の下から考えるということ

横地昭仁

2015年3月24日

 「キノコ雲の下」という言葉に強いインパクトをうけました。3月23日に日本記者クラブで開かれたパグウオッシュ会議と核廃絶がテーマの記者会見で出た言葉です。

 パグウオッシュ会議は、冷戦時代の1957年、核兵器の開発に携わった東西の科学者らがカナダのパグウオッシュに集まって、核廃絶と科学者自身の責任について話し合ったのがはじまりで、それから折に触れて世界大会を各地で開き、核廃絶に向けた提言をしています。ノーベル物理学賞を受賞した科学者らも参加し、日本も批准しているNPT=核兵器不拡散条約にも影響を与えたとされ、パグウオッシュ会議自体がノーベル平和賞を受けています。

 戦後50年、60年、つまり広島・長崎に原爆が投下されて50年、60年の節目の年には世界大会が広島で開催されましたが、70年の節目の今年は11月1日から5日まで「被爆70年:核なき世界、戦争の廃絶、人間性の回復をめざして」をテーマに世界大会が長崎で開催されることになり、この日の記者会見は、長崎大会に携わる日本の3人の学者(写真左から大西仁東北大学名誉教授、小沼通二神奈川歯科大学理事、鈴木達治郎長崎大学核兵器廃絶研究センター教授=組織委員会委員長)が意義やねらいを説明しました。

 キノコ雲の下という言葉は、95年の広島宣言に盛り込まれた言葉です。核の廃絶に背を向けるならば、「キノコ雲の下で夥しい数の人々が消滅する事態が、またしても起こりうる」と記されました。

 世界中の歴史教育で使われる教科書には、原爆を説明する資料として、上空から、つまり投下した側から撮影されたキノコ雲の写真が使われているといいます。確かに被爆国の日本でも、原爆の写真を一枚だけあげるとしたらキノコ雲になるのかもしれません。しかし、そのキノコ雲の下でどんな現実があったのか、投下された側の視点でそれを語り継ぎ、そこに思いを致すことが核兵器の問題を考える上でとても大切、今回、被爆地長崎で開催される意義の一つもそこにあるというのです。

 重い言葉でした。報道番組でも、よくキノコ雲の映像を使いますが、核兵器の象徴として安易に使っていないのか、大いに考えさせられました。

 さらに、最近の傾向として、映画やゲームなどで終末戦争などをうたった一見リアルなCG映像が氾濫しているが、核兵器がもし今使われるとどんなことが起こるのかを、こうした映像があふれる中で、どうやって描いていくのかが、重い課題だという趣旨の発言もありました。

 象徴的な映像が現実のすべてを表すわけではありません。まして、いくらリアルであっても作り物の映像には限界があります。自らの表現の幅を狭めるということでは、決してありませんが、技術の進歩で様々な映像を作成できるようになった今だからこそ、私たち報道に携わる者は、厳粛な気持ちで、現実に強くこだわり続けないといけないと感じました。

超高齢社会の在宅医療

後藤克幸

2015年3月23日

 論説室・CBCラジオ・名古屋大学医学部の共催による健康シンポジウム「超高齢社会の在宅医療」が3月7日、CBCホールで開催されました。医療現場と市民社会の情報共有を深め、医療に関する的確な知識を届けるラジオ番組として、「広瀬隆のラジオでいこう!」7時台コーナー『健康ライブラリー』を2年間続けてきました。放送で発信してきた身近な健康情報の中から、超高齢社会への対応として国の医療政策が急速にシフトしている「在宅医療」をシンポジウムのテーマに選びました。
 第1部は、在宅医療に積極的に取り組まれている、あいち診療会の内科医、野村秀樹先生が講演。野村先生は、実際の診療現場での事例を具体的にあげながら、◆在宅医療を受けるための基礎知識◆納得のいく在宅医療を受けるためのアドバイスなどについて、わかりやすい語り口で説明しました。

 第2部は、パネルディスカッション。在宅医療の現場で活躍するさまざまな専門家、医師、看護師、薬剤師、ケアマネジャー、社会福祉士が◆病状急変の不安◆介護家族の重い負担◆老老介護の破たん・・・などの難しい課題をどう解決していけばよいのかについて話し合いました。
このシンポジウムの内容は、CBCラジオのホームページに詳しく掲載していますのでご覧ください。
http://hicbc.com/radio/hirose/kenko/150307_event.htm

避けられない天変地異、ならば...。三陸鉄道から学ぶ"レジリエンス"

石塚元章

2015年3月12日

◆あの震災から4年が経ちました。何回か現地に入りましたが、とくに何度も取材させていただいたのが「三陸鉄道」。その後、例の国民的ドラマの舞台となったあの鉄道です。岩手県沿岸部を走る第3セクターで、廃線の危機に直面していた国鉄時代からの鉄路を、なんとか残そうと誕生しました。

震災直後の現地では、13メートルもの高さがあったはずの高架が津波で崩壊し、文字通り飴のように垂れ下がったレールや、島越(しまのこし)や田老(たろう)の駅周辺(島越は駅があったはずの場所...でしたが)ですっかり姿を消した街並み。目の当たりにしたその光景は脳裏に焼きついています。

 トンネルの中で停車した列車から乗客を連れて脱出した運転士さんや、手旗信号で運行に挑んだ社員の方...。「列車が動けば住民に力を与える」との信念で、震災後5日で一部区間とはいえ列車を運行させた社長の決断。     そこには震災に限らず、"万一のとき"に備えて我々が学ぶべきことが、数多くあります。

◆最近、「レジリエンス」という言葉が注目されています。「回復力」「復元力」や「しなやかさ」など、使われる場面によって微妙に異なりますが、ダメージを受けても折れずに立ち直る力...というような意味でしょうか。

 人類は、災害にまったく遭遇しないというわけにはいきません。となれば、被災したあと、いかに復興(回復・復元)していくかという対応力が大きな意味を持ってきます。

 天変地異の場合にあてはめれば、それは被災したひとりひとりの心の問題でもありますし、被災地を助けようとする周辺の人・組織・自治体・国の問題でもあります。さらに、ハード面にも当てはまる考え方でしょう(そもそもが物理学の用語だそうですが)。

 三陸鉄道の4年間は、「レジリエンス」のケーススタディであり、実例でもあったのかと改めて思うのです。

◆なんとか全線開業にこぎつけた「さんてつ」。とはいえ、駅周辺に以前のような街並みが戻ってきたわけではありません。三陸鉄道の戦いはまだ続いています。

 震災から4年を前に、三陸鉄道の望月正彦社長に久しぶりにお話を伺いました。「被災地に観光などででかけるのは、はばかられるという人もいると思いますが、そんなことはありません。是非、どんどん来てください。美味しいものが目的でも、景色を楽しみたいでもいいんです。とにかく来て、見てもらうことが大事だと思います」。

 

 

← 三陸鉄道はいま「震災学習列車」を走らせている。写真は、震災から4年目の2015年3月11日の震災学習列車。社員らがガイド役で同乗し、震災時の様子や復興の現状を説明しながら沿岸部を走る。犠牲者が多かった場所では停車し、黙とうも。

(三陸鉄道:提供/上の写真も)

   

あるベテラン県議の言葉~自民党大会を取材して

横地昭仁

2015年3月 9日

 3月8日に東京都内で開かれた自民党大会を取材してきました。 

 

 今回の大会の標語は「立党60年 新たな扉を開こう」というものでした。自由民主党は、保守合同といって、日本民主党と自由党という二つの保守政党が一つになって生まれました。今年はそれから60年の節目にあたるのです。

 

 自民党の生まれた1955年は、当時右派と左派にわかれていた日本社会党が統一され、それがきっかけとなり保守合同も実現したと言われています。今、その社会党はなく、自民党と社会党という二大政党が政治の大きな流れをつくってきた55年体制という言葉も、永田町でほとんど聞かれることはなくなりました。 

 

 変わって最近よく聞かれるようになったのは、一強多弱という、自民党が圧倒的に強いとされる、いまの国政の状況を指す言葉です。 

 

 党大会での谷垣幹事長の報告でも、先の総選挙で一年生議員が多数再選され、総選挙ごとに前の政権党に所属する新人議員が大量落選、野党の新人議員が大量当選して政権交代になるという、2009年と2012年の2回の総選挙で繰り返されたことにも象徴される、いわゆる振り子現象に終止符をうつことができたと胸を張り、これまで自民党が2回下野しながらも政権復帰できたのは、強固な地方組織のおかげ、地方創生を日本創生にしようと、目前にせまった統一地方選への取り組みを訴えていました。 

 

 ここで印象に残ったのは、党大会に参加していた、引退を決めたあるベテラン県議の言葉です。次の地方選挙を目指す若い人たちにぜひ言いたいことはなんでしょうと尋ねたところ、毎日の積み重ねを大事にしてほしい、地域の有権者との対話の積み重ねから政治は生まれる、あたりまえのようなことだが、それを強く噛み締めてほしいと話していました。 

 

 安倍総裁は、この党大会で戦後以来の大改革に邁進していく決意を表明していましたが、その一つである農業改革は、まさにそれぞれの地域のありかたに密接にからんでいる問題です。経済の再生も地域経済抜きに語ることはできません。さらに、安全保障についても有権者に一番近い地方議員が接する様々な声も、実は大事なのかもしれません。 

 

 自民党だけでなく、広く地方政治を目指す人達が、地元の問題について、今の国政の課題の視点も踏まえた上でどんな主張をしていくのか、そして、それぞれの訴えの中で、どれだけ地域の声に接することができるのか、こうした点をしっかり見守っていきたいと思いました。

中学生殺害事件 文部科学省の検証と教育現場

横地昭仁

2015年3月 7日

 川崎市の中学一年の男子生徒が殺害された事件は、17歳から18歳の少年3人が逮捕され、社会に大きな衝撃を与えています。

 

 この事態を受けて文部科学省は、先月27日、この事件についての教育現場の対応の検証や再発防止を検討するタスクフォースを設けました。タスクフォースという言葉は、日本語にすると、この場合、特別検証委員会という意味合いになるのでしょうが、いたずらに時間をかけず、機動的に検証するという姿勢も、この言葉に込められていると感じます。タスクフォースのトップ、地元愛知6区選出の代議士である丹羽秀樹文部科学副大臣に先日話を聞いてきました。

 

 丹羽副大臣によりますと、タスクフォースの設置には、この事件に対する安倍総理の強い思いがあったそうです。タスクフォースでは、まずは、登校せず連絡のとれない児童・生徒の緊急調査をはじめていますが、事件自体については、どうして大切な命を救うことができなかったのか、学校現場だけでなく、警察との連携など、広い視野から、早急に、しっかり検証していきたいということでした。

 

 もちろん、徹底した検証をお願いしたいのですが、お話をうかがっていて、もう一つ感じたのは、教育現場の現状についてです。事件の直接的な検証とはすこし離れてしまうかも知れませんが、少子高齢化という人口構造の変化は教育現場にもおよび、今、いわゆる団塊の世代のベテランの先生が大量に退職していく中で、中堅層のベテランの先生の割合が相対的に減ってきている現状があります。その中で、学校現場では、教室での授業以外に様々な業務が発生し、特に経験の少ない先生に負担がかかるという構造的な問題があるのではないかという点です。

 

 文部科学省でもチーム学校というとりくみを進めることにしていて、ソーシャルワーカーやスクールカウンセラーなど、教師以外の人材を積極的に学校現場で活用することが具体的に検討されています。また、学警連携といって、地域の教育委員会と警察が協定を結んだりして、非行の問題などに、地域も含めて機動的に対処しようというとりくみも始まっていますが、全国的には、まだ道半ばという面があるようです。

 

 子どもをまもり育てていくのは、教育現場や家庭だけの問題ではありません。次代を担う大切な命がなぜ奪われてしまったのか、タスクフォースには、幅広い検証をお願いするとともに、教育現場がおかれている現状や、それに対して地域がどうかかわっていくべきかといった点にもしっかりと目を向けていきたいと感じています。

民主党大会に行ってきました

横地昭仁

2015年3月 1日

 東京都内で開かれた民主党の定期大会に行ってきました。党大会は、民主党の最高議決機関と位置づけられていて、定期大会は前年の活動を総括し、これからの党の活動方針を決める重要な集まりです。

 

 折しも統一地方選目前、今回の大会は、昨年の総選挙の結果を民主党がどのように受けとめて、どのように党の再生を図るのか、そして、これから民主党として何を目指すのか国民にアピールする重要な場にもなったといえるでしょう。

 

 岡田代表は網膜剥離の再発で欠席しましたが、蓮舫代表代行が代読したメッセージで、女性と地方を大きな二つの柱とし、生活起点、地域起点という二つのキーワードを掲げて統一地方選を戦っていくという決意を示しました。また、枝野幹事長は、先の総選挙を敗北だったと認めて、国政選挙については、来年の衆参ダブル選挙も想定して候補者の選定を急ぎ、国会では、安保法制などで安倍政権と対峙していくと語っていました。

 

 こうした党幹部の決意表明に加えて、個人的に印象に残ったのは、来賓として出席した連合の古賀会長の発言です。民主党に対して強く冷たい向かい風が吹いていると明言し、国民の信頼を回復するために一人一人の自覚や覚悟、それに、筋の通った組織運営を求めるという、選挙で支援をしている組織の来賓あいさつとしては、異例ともいえる厳しいものでした。しかし、先の総選挙の出口調査などから、古賀会長の発言は、民主党に対する有権者の見方を反映しているとも感じました。

 

 いわゆる第三極や少数政党の存在も重要ですが、今の衆議院の選挙制度が一つの選挙区で一人の代表が選ばれる小選挙区制を基本としている以上、与党側、野党側と二つの大きな政治勢力が互いに切磋琢磨していくことが健全な民主主義のために求められることでしょう。

 

 しかし、今の民主党が、かつて実現したような政権交代の可能性も含め、与党に対抗しうる大きな政治勢力の核となるには古賀会長が指摘したような課題があることも事実でしょう。

 

 まずは、地方選で、民主党所属の立候補予定者が、民主党に対する批判も含めたそれぞれの地域の有権者の声をどのようにうけとめ、生活起点、地域起点という、今日示されたキーワードを、それぞれの具体的な訴えにどうやって落とし込んでいくのか注目していきたいと思いました。

民主党定期大会(2015年3月1日) 

調査から去年の総選挙を振り返る その①~選挙と調査について~

横地昭仁

2015年2月 7日

<はじめに>

 去年12月第47回総選挙が執行されました。結果を見ますと、与党の内、自民党は選挙直後の追加公認を加えると291議席となり、一強多弱といわれた政治状況は、改選後も大きく変わることはなく、35議席まで増やした公明党とあわせて、与党は全体の三分の二を超える大きな勢力となっています。

 では、自公政権は有権者から無条件に信任されたといえるのでしょうか。

 ここでは、これから何回かにわたって、主に今回の選挙でCBCテレビが実施した世論調査と出口調査から、東海三県の有権者の選択を見てみることにしましょう。

 

<選挙と調査>

・有権者の疑問

 その前に、選挙の度に各マスコミが実施する調査、特に放送局が実施する調査について考えます。

 最近ツイッターなどのSNSが発達し、有権者のみなさんが選挙についてどう思われているのか、自由に書かれたご意見をこれまでより容易に閲覧することができるようになりました。その中で散見されるのは、マスコミの選挙調査は何のためにやっているのかという疑問、また、調査結果に正しく有権者の意思が反映されているのかという疑問です。

 まず、こうした疑問にお答えしましょう。

 

・当確報道と出口調査

 まず、何のための調査なのでしょうか。一言で言えば冒頭に記したように有権者の選択を示すためです。

 しかし、放送をメインの媒体とする私たちは、新聞や雑誌などの印刷媒体とは異なり、選挙当日の夜、時々刻々と変わる情勢を「生」で伝えることが大きな使命だと考えています。そうしますと投票が締め切られてから、どの候補がバッチをつけるのか、私たちの責任において、その折々に的確に当確報道をしていくことがとても大切だということになります。次々に判明する一つ一つの議席の積み重ねが、選挙後の国政のありかたを作り上げていくからです。

 的確な当確報道のためには、それぞれの選挙区での取材の蓄積も大切ですが、選挙当日は開票状況の取材、そして、投票を終えた皆さんに直接投票行動について伺う出口調査がなにより重要になります。さらに期日前投票が有権者に広く浸透してきた現在、期日前投票の出口調査も重要です。

 

・有権者全体を考えるには世論調査が欠かせない

 ただ、私たち放送メディアの選挙報道の役割は当確報道だけにあるとは考えていません。私たちを規律する放送法には、目的の一つに、「健全な民主主義の発達に資するようにすること」と記されています。誰が当選確実なのか、だけではなくて、投票に行かない方も含めて、有権者の皆さんがそれぞれの選挙にどんな思いをもたれているのか、それが結果にどう結びついているのかをお伝えすることも、「民主主義」のためにはとても重要なこと、これも有権者の選択としてお伝えすべき重要なことだと考えています。

 そうしますと、投票に行かない方も含めて、選挙区のすべての有権者を調査の対象としてとらえる世論調査、具体的には電話による聞き取り調査も大変重要になるのです。

 

・調査の大切さ

 もう一度、改めてどうしてこうした調査が大切なのか説明します。もし、出口調査や世論調査データがありませんと、全体として有権者の投票行動にどういう傾向がみられるのか、また、ポイントとなった争点はなにか、投票結果と個々の記者の取材の蓄積はあるにしても、推察を中心にした分析になってしまいかねません。

 どうしてかというと、投票用紙に記載するのは、候補者や政党の名前だけだからです。もちろん選挙には必要十分なのですが、開票結果を見ても一票ごとの投票者の年代や性別は分かりませんし、まして、それぞれの投票用紙にはどんな思いが込められているのかとなると、別に調査データがないと、客観的な根拠をもとに投票行動について考察し、報道することができなくなってしまうのです。

 

・調査は信頼できるのか

 しかしここで大きな疑問を持たれる方もいらっしゃるかも知れません。投票者、あるいは有権者全員に聞いているわけではないのに、どうして全体の傾向だといえるのかと。確かにSNSでもこうした点から、マスコミの調査の信頼性に疑問を持つご意見を拝見することがあります。

 ただし、そもそもすべての方に調査をするということは事実上不可能です。そこで、工業製品や食品の品質管理にも用いられているサンプリング調査という考え方が登場します。ごく簡単に言いますと、調査対象の全部を調べなくても、そのうちの一部をうまくとりだして調べれば全体の傾向がわかるという統計の考えかたを用いているのです。

 そうはいっても、だれにうかがうのかという調査対象の決め方や、質問の方法など、具体的にはさまざまなやりかた=手法があります。

 

・私たちの取り組み

 私たちCBCテレビはこれまでの国政選挙で独自・単独の出口調査を10年以上、世論調査については、さらに長い期間にわたって実施してきています。調査の手法については、さまざまな具体的な工夫を重ねることで、全体を代表するような調査となるよう取り組みをづつけ、統計上はおおむね選挙結果通りといってよい調査結果となっています。

 それはとりもなおさず、有権者の皆さんが私たちの調査についてご理解いただき、快くご協力いただいているからだこそともいえます。大変ありがたいことです。

 

 では、皆様からの貴重なデータをもとに、今回の選挙について考えてみることにしましょう。

 

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